IL-27はIL-12ファミリーに属するサイトカインで、免疫抑制作用を持つことが知られています。この免疫抑制作用は主としてT細胞からIL-10を産生させることによるとされています。
今回、佐賀大学医学部麻酔科蘇生科および鹿児島大学などとの共同研究において、笹栗智子医師が、IL-27シグナルに“疼痛を抑制する作用がある”ことを見出し、Scientific Report誌に発表しました。
Interleukin-27 controls basal pain threshold in physiological and pathological conditions
www.nature.com
IL-27やその受容体を欠損するマウスはさまざまな刺激による痛み刺激に過敏になっており、IL-27欠損マウスにIL-27を投与するとその過敏状態が速やかに改善されます。
この疼痛抑制メカニズムは、いわゆる鎮痛剤やオピオイド(麻薬など)による疼痛抑制とは異なる経路により、またその迅速な抑制作用からT細胞を介した物ではないと考えられ、全く新規の疼痛制御機構の存在を示しています。これにより、新しい鎮痛剤の開発、あるいは神経痛や神経因性疼痛(ウイルス感染後や手術後などに、原因がなくなっても続くコントロールが難しい痛み)の原因解明や新しい治療法の開発につながることが期待されます。