サイトカインとその機能解析

  • CD4陽性のT細胞が抗原を認識すると、 Th1あるいはTh2と呼ばれる二つの異なる細胞集団に分化していきます。Th1細胞は主としてIFN-γを産生し、マクロファージの活性化を介 して細胞内寄生病原体の排除などに当たります。Th2細胞は、IL-4を産生し抗体産生を制御しています。
    この分化には、サイトカインが重要な役割を果たしており、IL-12がTh1への分化を、またIL-4がTh2への分化を誘導します。

 

  • 最近になって、IL-12と相同性を持つサイトカイン、IL-23,IL-27 とその受容体が同定され、IL-12がファミリーを形成することがわかってきました。さらに、我々を含めたいくつかのグループの解析により、これ らのサイトカイン(受容体)に機能の違いがあることが明らかになってきました。すなわち、IL-27はTh1細胞の分化の初期に作用し、IL-12が Th1細胞の増殖と維持にあたり、そしてIL-23がメモリーTh1細胞の増殖を誘導する、というものです。(図1)

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図1 IL-12サイトカインファミリーメンバーとヘルパーT細胞の分化

  • 我々がノックアウトマウスを作成し解析してきたWSX-1は、IL-27の受容体と考えられており、欠損することによりIFN-γ産生が低下し、寄生虫Leishmania majorに対する感染抵抗性が低下します。
  • さらに、新しくわかってきたことは、WSX-1には炎症を抑制する作用もあるということです。WSX-1欠損マウスでは、ある種の感染により、炎症に関連するサイトカインの過剰産生が生じ、致死的な肝炎が生じます。(図2)

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図2 WSX-1欠損マウス(KO)における感染後の肝障害と、過剰なサイトカイン産生

  • さらに、IL-27の免疫・炎症抑制作用は、いわゆる免疫疾患や感染症のみならず、代謝性疾患などにおいても重要な役割を果たしています。肥満、糖尿病(インスリン抵抗性)、動脈効果などのいわゆる代謝性疾患には、その病態形成に慢性炎症が存在することが知られるようになりました。IL-27は、この低レベルの慢性炎症に対しても抑制効果を示すため、WSX-1夜IL-27のコンポーネントであるEBI-3を欠損する動脈硬化モデルマウスでは、動脈硬化の発症が著しく促進されます。(図3)

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図3 LDL受容体を欠損する動脈硬化モデルマウスにおけるWSX-1/EBI-3欠損による病変の増悪

IL-27やWSX-1のシグナルをうまく制御することにより、感染や自己免疫疾患、炎症性疾患の新しい治療法が得られることが期待されます。

我々は、WSX-1ノックアウトマウスや関連遺伝子ノックアウトマウスの作成と解析を通じて、感染や自己免疫疾患におけるIL-12ファミリーメンバーの役割の解明を目指し、さらに得られた結果を基に疾患を制御する方法を得ることを目指しています。